【子育てグッズ研究会】表紙




抗菌グッズレポート 担当:今川和美

以前マザーズクラブ通信の読者から「抗菌商品についてその効果や安全性が知りたい」という意見をいただきました。ご要望にお応えし、今回は子供用抗菌グッズ(おもちゃ、食器、歯ブラシ、バススポンジ)についてレポートしてみます。


抗菌と表示されていて、尚かつ、メーカーの連絡先電話番号が明記されているものの中から次の4つの商品を選びました。

a)T社のミッキーマウスの人形:やわらかいプラスチック製の着せ替えが出来る人形    
b)G社のポケモンお弁当箱:大きな容器の中に小さな容器4つが入っているもの 
c)S社の幼児用歯ブラシ:キャラクターの絵が描かれている2〜4才用歯ブラシ       
d)P社のキトサンバススポンジ:巾着袋に入ったバススポンジ    


  それぞれのメーカーに電話し、抗菌剤の種類や安全性、効果の持続期間などについて質問しました。メーカーからの回答だけではわからない部分が多いので、国民生活センター発行の雑誌「たしかな目」1997年6月号を参考にしました。

1.「抗菌」って何?
殺菌や除菌というと、バイ菌を殺したり取り除くことだとわかりますが、抗菌は少し作用が弱いような気がします。「たしかな目」によると、抗菌にははっきりした定義があるわけではなく、バイ菌の増殖を抑えるという意味で使われることが多いようです。


2.どんな抗菌剤を使っているの?
抗菌剤には大きく分けて、無機系抗菌剤(抗菌性金属を使用)と有機系抗菌剤(殺菌剤や防かび剤として使用)があります。前者は有機系に比べて殺菌力が弱く、菌の増殖を抑える程度ですが、安全性は高いという特徴があります。後者は化学的に製造された薬剤を使用しており、抗菌効果は強いが皮膚への刺激も強い傾向があるようです。

T社:銀担特リン酸ジルコニウム(無機系)
G社:イオンピュア(無機系)
S社:クロルヘキシジン(有機系)
P社:巾着袋にはカニやエビの殻に含まれる天然抗菌成分キトサン配合の繊維キトポリィを、スポンジにはスーパーゼオミック(無機系)を使用。


3.安全性の確認はどうしているの?
抗菌剤を使って清潔に保つのはいいけれど、口に入ったり皮膚に触れたりして体に影響はないのか心配な方もいらっしゃるでしょう。そこで、安全性について聞いたところ、T社は「自社と日本玩具協会でテストしている」とのこと。また、歯ブラシのS社は、「クロルヘキシジンは、食品や歯磨き粉にも使われている殺菌剤なので安心です」との回答でした。G社には質問せず、P社は無回答でした。


4.効果はどのくらい持続するの?
T社:無回答(「持続する」とのみ回答)
G社:約1カ月程度。永久ではない
S社:約1カ月
P社:無回答


5.抗菌の表示はどうなっているの?
繊維製品については、業界で自主基準が作られており「抗菌防臭加工」という統一用語を使用することになっています。しかし、繊維製品以外の商品については業界の自主基準はなく、今回調べた4つの商品の表示もバラバラでした。

T社:箱の表にバイキンの絵と共に次の文章を表示。「バイキンさよなら抗菌性プラスチック使用(衛生効果を高めるため抗菌材料を一部使用。原料は身体に無害です。安心してご使用下さい。)銀担特リン酸ジルコニウム」箱の裏に「頭・腕・脚に抗菌剤を使用しています。」の表示あり。

G社:「抗菌タイプ」というシールが貼ってあり、「雑菌の繁殖を抑えます」と表示。
S社:「抗菌コート」と表示。
P社:袋の表にカニの絵とともに「カニ・エビの殻に含まれる天然抗菌成分キトサン配合」と表示。裏に特長として「天然系抗菌防臭成分キトサン配合の繊維キトポリィを使っているので繊維上の雑菌の繁殖を抑えます」「抗菌加工処理をしたスポンジを使っています」と表示。


6.メーカーからのアドバイス
G社:食器乾燥機や電子レンジには入れないで下さい。また、抗菌加工は小分けになっている容器だけですのでご了承下さい。お手入れは普通で結構です。

S社:歯ブラシは使い方にもよるが、1日3回3分ずつ磨いていれば、ブラシの部分が開いた状態になるので、1カ月くらいで交換したほうがいいでしょう。抗菌加工にしたのは口の中の雑菌が歯ブラシについて繁殖するのを抑えるためなので、保管状態にも気を付けて下さい。


7.お客様相談室の対応について
T社:電話に出たのは男性で言葉遣いは丁寧でしたが、自ら積極的に答えようという気配がなく、質問しにくい雰囲気でした。

G社:フリーダイヤルで、応対したのは男性。抗菌剤の名前や持続期間など、面倒くさがらずに資料を調べ回答してくれたので、好感が持てました。

S社:フリーダイヤルで、男性が丁寧に応対してくれました。やや早口でしたが、こちらの質問にも嫌がらず答え、抗菌剤の名前が表示されていないことを指摘すると、今後に反映させるとの回答がありました。

P社:応対したのは男性で、言葉遣いは丁寧でしたが商品知識が少なく、折り返し調べて電話すると回答。約1時間後に連絡がありました。


8.メーカーへの要望
☆ 抗菌の効果や安全性に疑問を持っている消費者は多いと思うので、パッケージにはせめて抗菌剤名を表示してほしい。

☆ 抗菌効果の持続期間や安全性など、リーフレットを作って消費者へ情報提供したり、消費者から気軽に質問できるようフリーダイヤルのお客様センターを設置してほしい。

☆ プラスチック製品や玩具など業界で統一した表示を望みます。

☆ お客様センターで応対する人には、消費者が質問しやすい雰囲気づくりと一定レベルの商品知識を備えてほしいと思います。


9.最後に
「抗菌」という2文字はなんとなくバイ菌が繁殖しにくい、寄りつきにくいというイメージがあって、清潔に保てるのではないかとつい商品に手を伸ばしたくなります。
しかし、抗菌商品が巷にあふれている割には抗菌商品についてよく知らないのが現実ですね。商品に「抗菌」とシールが貼ってあっても、抗菌剤の名前が表示されているのは稀ですし(今回の場合おもちゃのみ)、メーカーに電話してみて初めてその名前や効果の持続期間が短いことがわかりました。

抗菌の効果については、菌を植え付けてテストするというわけにはいきませんでしたので、「たしかな目」のテスト結果を参考までに載せておきます。水回りの商品(まな板、三角コーナー、スポンジなど)に限ったものですが、「抗菌剤の効果が及ぶ範囲は、製品の表面に付着した菌だけ。
汚れの表面についた菌には効果がないので、表面をきれいに洗って清潔にしていなければ抗菌の効果は及ばない」という結果が出ています。

な〜んだと思われましたか? プラスチック製の食器やお弁当箱なら、熱いものを入れない、汚れを残さないよう拭き取ってからきれいに洗う、歯ブラシやスポンジなら湿ったままで放置しないなど、抗菌商品でなくても普段実行していることで充分ではないでしょうか。
「抗菌=簡単で清潔」と思い込まず、本当にその抗菌商品が必要かどうかよく考えて選びたいですね。
 


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