| 【子育てグッズ研究会】表紙 |
| チャイルドシート研究グループ(吉沢美紀&京増純芽&今川和美)
私たち「子育てグッズ研究会 チャイルドシート研究グループ」では、何故チャイル
ドシートを着用しない人が多いのか、という疑問から、調査研究を行ってきました。
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| (1) | 社会全体の安全に対する意識の低さ |
| 最近、JAF日本自動車連盟や警察をはじめとするいくつかの機関によって「何故チ
ャイルドシートを使わないのか」という調査が行われています。しかしこれはチャイル
ドシート着用義務の法制化のうごきをうけて「ようやく」行われるようになったわけで
、こういった調査が「ようやく」行われるようになったということ、また法制化という
うごきがあってやっと行われるということが、日本社会全体の安全に対する意識の低さ
を表しています。 チャイルドシートを使わない理由として「子どもが嫌がるから」「面倒くさい」「抱
っこで十分」「近距離なら大丈夫だろうから」等々が挙がります。多くのドライバーが
「自分は事故にはあわない」と思っているともいわれます。
しかし、自分はシートベルトをして、子どもは何もしないで車に乗せていいのでしょ うか。 祖父母のいる家庭で、祖父母が「孫がかわいそうだから自分が抱いている」といって 、わざわざ子どもをチャイルドシートからおろしてしまう、という事例もあります。し かし、その後事故に遭い、祖父母は助かり、子どもだけが死亡してしまったという悲惨 な例も実際にあるのです。 チャイルドシートを使わない人が多い背景には、まず根本的に、日本社会の「安全は タダ」「自分は大丈夫」という意識、危機管理の甘さがあることを認識すべきだと思わ れます。 |
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| (2) | 日本の乗用車はチャイルドシートが使いずらい |
| 世界にその品質を誇る日本の乗用車も、チャイルドシートを使用するということに関
しては、あまり高い評価を得られないようです。 その理由として、1つ目はシートベルトでチャイルドシートを座席に固定させること
を 想定した構造になっていない車が多いこと、2つ目はSRSエアバッグの標準装備によ
り チャイルドシートを設置する場所が少なくなっていること(サイドエアバックなど)、
です。3つ目はママドライバーの運転が多い軽自動車にはチャイルドシートが設置しず
ら いということ。普通車より衝突時の衝撃やダメージが大きいことを考えると、軽自動車
のドライバーにチャイルドシートが敬遠されてしまうのは、大変危険であり、残念なこ
とといわざるをえません。最近では一部の車種に、チャイルドシートがビルトインされ
ているものも登場してはいますが、あくまでほんの一部。日本の乗用車はあくまで「健
康な成人」のために設計されていて、まだまだチャイルドシートは単なる「付属品」と
しての扱いのようです。
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| (3) | チャイルドシートの商品としての問題点 |
| チャイルドシートは子どもの乗車中の安全を守るためのものなので、どの商品もかな
りがっしりとして重いのが特徴です。機能面を考えればそれはやむを得ないことですが
、実際持ち運んで設置する場合のことを考えると、「重い=使いずらい」というイメー
ジをユーザーに与えることにもなりますし、重い物は実際使いずらいです。 また、子どもにもかなりの拘束感・圧迫感を与えます。拘束感や圧迫感、「暑苦しい
」という感覚は子どもが最も嫌うものですから、「子どもが嫌がる」のも無理のないこ
とといわざるをえません。
価格面でも「使用期間(2〜3年)に比べて価格が高い」という意見がきかれます。 子どもの安全を守るためのモノなのだから、多少高価でも仕方ない、高価で当然とも 言えますが、実際に購入する立場にたてば、少しでも「安くていいモノ」「安くても安 心して使えるもの」を求めるのも当然です。不必要な機能が付加されていて高価になっ ているものもあるので、一概に「高価なら安心」とはいえません。必要な機能がついて いて、なおかつ適正な価格であるか、消費者側も厳しくチェックする必要があります。 また最近チャイルドシートの誤装着、誤使用による事故例が報告され、問題になって
います。この原因は「チャイルドシートの正しい装着が難しい」ことです。取り扱い説
明書通りにやったとしても、車のシートにきちんとぐらつかないように装着するのは、
かなり困難な作業です。正しい装着方法をきちんとアドバイスしてくれる人がいつでも
身近にいるわけではないし、どこに相談していいかもよくわからないのが現状です。「
チャイルドシートは正しく装着をしなければかえって危険な場合がある」ことや、「正
しい装着は難しい」ことがきちんとユーザーに伝わっていない現状で、事故例だけがセ
ンセーショナルにとりあげられていては、チャイルドシートに対する不信感をあおって
しまう結果にもなりかねません。
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| (4) | チャイルドシートの正しい着用の必要性は十分PRされていない |
| 今年の春、某デパートで「チャイルドシート普及推進キャンペーン」と銘打ったイベ
ントが行われていました。そこには総理大臣をはじめ、関係省庁やメーカーのお歴々も
顔をだされ、マスコミの取材もあったようです。しかし、肝心のユーザー向けの企画、
たとえば子どもを自由に乗せて試してみたり、実際に車にとりつけてみたり、衝突実験
をしてみたり、などといったものは全くなく、チャイルドシートはただ雛壇にお行儀よ
く並んでいただけでした。誰のためのキャンペーンだったのか、首をかしげざるをえま
せんでした。
「ママの胸よりチャイルドシート」(1997年放映)というテレビCM(by 日本損害保険協会)が流れたこ とがあります。女優の南果歩さんが子どもを抱き、次の場面では子どもを失い涙を流す 映像は、かなりショッキングで訴えかける効果があり、こういうCMが流れるようにな ったことは喜ばしいことだと感じていました。しかしそれも数週間たつと流れなくなっ てしまいました。数週間では、チャイルドシートに興味を持っている人にしか認知され ず、記憶にも残りません。おそらくテレビCMの契約期間がきれたからでしょうが、こ のようなCMがわずか数週間で打ち切られるのは大変残念なことです。 法制化が決まったことで、最近はチャイルドシートの商品CMがしばしば流されるよ うになってきましたが、それらはあくまで「商品のPR」です。商品に関する情報(主 にプラス情報)は流されるものの、正しい装着の必要性や方法、チャイルドシートをし ないといかに危険か、などの情報は流されません。 また、公正な第3者的機関による、各社の商品の比較結果、各社の商品の長所・短所
といった情報は一般にひろく流されていません。すなわち、メーカーサイドにたった一
方的な商品情報のみしか、一般消費者には伝わっていないのです。これでは、消費者が
自分の車、自分のカーライフスタイル、自分の子どもにあったチャイルドシートを的確
に選ぶことは困難といわざるをえません。
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| ■私たち からの提案や要望 | |
| 以上の原因の分析結果をもとに、それを解決するためにはどうしたらよいか、私たち
からの提案や要望を述べたいと思います。
(1) 社会全体の安全に対する意識を高めるために、あらゆる人に対して安全教育や 啓 発活動を継続して行う。 [親に対して]
[子どもに対して]
[親子にむけて]
(2) 車の構造をチャイルドシートが設置・使用しやすいように改善する
チャイルド シ ートを付けるのに最も適した場所は「後部座席中央」といわれていますが、実際には後 部座席中央にはアームレストが着いていたり、座席が盛り上がっていたりして、付けら れないことが多いのです。また、座席は大人が座りやすいように中央部がへこんでいる ことが多いですが、チャイルドシートの座面は平らですから、かなりの力で座席に押し つけないと、座席とチャイルドシートとの間に隙間があき、ぐらつきの原因にもなりま す。フラットな座席 の方がチャイルドシートを装着しやすく、ぐらつきも減ると思われます。 ・ 子どものいる家庭が購入する車には、チャイルドシートを標準装備にするか、もし く はメーカーの純正部品として必ず装備させるようにしてほしい。子どものいる家庭が車 を購入する際、ディーラーの営業マンは必ずチャイルドシートの有無を確認する、そし て、ない家庭には必ず購入することをすすめる営業をしてほしいと思います。純正部品 として、車とセットで販売してもらうのもよいと思われます。 ・ シートベルトをあらゆる体型、あらゆる年代の人に合わせられるような構造に改善 す る(チャイルドシートを卒業した子ども、小柄な人、高齢者、等々)ことも望みたい。 現在、シートベルトは「健康な成人の体型」にあわせて作られています。そのため、そ の「規格外」の人にはあわないことが多いです。例えば小柄な高齢者は、チャイルドシ ートを卒業した6歳位の子どもと同様に、シートベルトをそのまますると、肩ベルトが ちょうど首の位置にあたり、衝突時に首を損傷する可能性が高くなります。チャイルド シートを固定しやすく、なおかついろいろな体型の人に合わせて調整できるシートベル トの開発を望むのは、高望みにすぎるでしょうか…。 (3) 「使いやすい」「子どもに嫌われない」「リーズナブル」な商品の開発 ・ 誰にでも正しい装着が可能で、通気性など子どもの乗り心地を考えたモノ、尚且つ も う少し買いやすい価格で安心して使えるモノが数多く出てきてほしいものです。 最近はかなりいろいろな機能がついた新製品が出てきていますが、価格的には10万 円を超すモノもあり、これでは「使用期間のわりに価格が高い」という消費者の意識は ますます強くなってしまわないでしょうか。 (4)正しい装着の指導ができる専門スタッフの養成が必要不可欠 ・ チャイルドシートの正しい装着はかなり技術が必要かつ、簡単ではありません。チ ャ イルドシートを初めて車に装着する人が、取り扱い説明書を読んだだけで、正しく、ぐ らつかないように、車の座席に装着することはかなり難しいことです。ましてやかなり の重量と大きさのチャイルドシートの取り付けを、狭い車内空間のなかで行わなければ ならないのですから、初めての人にとってはかなり困難な作業になりますし、誤装着の 可能性も高くなります。 また、現在「なんとなくぐらつく」「これでいいのだろうか」という不安を抱えなが ら使用している人も多いです。 誤装着は事故のもと! そこで、チャイルドシートの正しい装着を指導できる専門スタッフの養成が必要不可 欠です。あらゆるチャイルドシートを、あらゆるタイプの車に正しく装着でき、それを 正しく使用者に指導できる専門スタッフが求められるはずです。アメリカではこのよう な専門スタッフの養成が行われており、その専門スタッフがショッピングセンターの駐 車場などで、正しい装着ができているかどうかのチェック&指導を行い、それにより、 誤装着による事故は確実に減少しているそうです。 また、チャイルドシートに関する相談をうける無料相談センター(かけこみ寺的なも の)の開設も求められるでしょう。正しく装着できているか、正しく使用できているか 、リサイクル品や古い製品について使用可能かどうか等々をチェック&ジャッジしたり 、その他ユーザーの不安、疑問、意見を吸い上げるところがあれば、ユーザー側はかな り安心できると思われます。 (5) 継続的なPR・宣伝活動 ・ チャイルドシートのテレビCMを常に流す。 商品CMのみならず、正しい装着の必要性、チャイルドシートを装着せずに事故にあ った場合の恐ろしさ等もきちんと伝えるCMを定期的に流して欲しいものです。 ・ 車のCMにチャイルドシート着用シーンを多用してほしい。 現在流れている車のCMはエンジンの性能やスピード、かっこよさなどを訴えるモノ がほとんどです。「子どもを乗せてアウトドアに行こう」という類のCMも最近は目立 ちますが、「子どもをどうやって安全に乗せるか」はCMには流れません。車の性能ば かりをアピールするのではなく、これからは大人も子どもも含めていかに安全に車に乗 るか、をきちんとアピールするCMを作ってほしいものです。 ・ バラエティ番組や情報番組、報道番組等でもチャイルドシートを取り上げてほしい 。 子ども向け番組やいわゆる主婦向けとされる情報番組は午前中や午後の早い時間に組 まれていますが、働くお母さんやお父さんたちはその時間のTV番組は見ることができ ません。夕食後の時間帯や夜の情報番組や報道番組で取り上げられれば、かなりの人の 目にふれることになると思います。これも一回きりではなくできるだけあちこちの番組 で、シリーズ化するなどして頻回にとりあげてほしいと思います。 それとともに、新聞、雑誌、ラジオ等のメディアでも、チャイルドシート着用を継続 的によびかけたり、特集を頻回に組んだりしてほしいと思います。 (6) チャイルドシートに関する情報公開 最も求められるのは、中立的な第3者的機関による商品の安全テストの実施と、その 結果の公開です。現在一般に流されている情報は、メーカーサイドからの商品情報に偏 っており、そのため、商品のプラス情報しか我々には伝わりません。法制度化をうけて かなりの種類のチャイルドシートが市場に登場してくることが予想されます。 チャイルドシートは特に「子どもの命に関わる商品」であるだけに、それぞれに対し て厳しい安全テストを行い、その情報が正しく消費者に伝えられる必要があります。消 費者が自分の子ども、自分の車、自分のカーライフスタイルのあったチャイルドシート を正しく選ぶために、これは早急に行われて欲しいと思います。 最後にチャイルドシート着用推進にむけていかなる策をとるにしても、そこにユーザ ーである一般消費者の視点や意見が欠けてしまっては、その策は不十分なものにならざ るをえないといえます。私たち子育てグッズ研究会チャイルドシート研究グループは、 ユーザーの視点・意見を常に把握し、それを行政や企業に伝え、より効果的な策の立案 ・商品開発・宣伝制作等に反映させていただきたいと思っております。 |
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